AWS を退職します👋
4年弱勤めた AWS を2022年3月末付けで退職します. 本日が最終勤務日です.
在籍期間中には多くの AWS ユーザーや同僚にお世話になりました. 感謝の気持ちを込めて、退職報告をしたためます.
基本的にはポエムなので、忙しい方は次のまとめセクションだけで十分だと思います.
TL;DR
- 2022年3月末をもって AWS を退職します
- ネガティブな理由での退職ではありません. 挑戦こそ我が人生というやつです.
- 次は4月から日本のスタートアップ企業にて Software Engineer として働きます
- 本文読むのは面倒だけど質問がある方は本記事末尾の FAQ をあわせてどうぞ
AWS 入社当時の思い出
当時 AWS Japan でサーバーレス スペシャリスト ソリューション アーキテクト (SA)1 を務めていた西谷さん2に誘ってもらい、2018年の5月末に入社しました. AWS 入社後の僕のことを知ってくださっている方の中には、僕に「コンテナまわりにいる人」という印象を持つ方もいるかもしれませんが、実は入社当時のロールはサーバーレスのスペシャリスト SA でした.
前述の西谷さんから『2018/5/30から始まる AWS Summit Tokyo 2018 に間に合うように入社して欲しい』というリクエストを受けていたので、5/28(月)に入社し、貸与ラップトップをセットアップしたり Microsoft Exchange Server と戦ったりしているうちに AWS Summit Tokyo 2018 が始まりました. AWS ブースに遊びにきてくれたたくさんの JAWS-UG3 コミュニティのみなさんに「今後ともよろしくお願いします!」みたいな挨拶をしたことを覚えています.
入社の翌週には2週間くらいかけてバンクーバーやシアトルを訪ね、コンテナやサーバーレス系のサービスチームとたくさんのミーティングをしました. Amazon ECS、Amazon EKS、AWS Fargate、AWS Lambda、Amazon API Gateway、AWS Step Functions、Amazon Cognito、AWS AppSync、Amazon Pinpoint (他にもあったかも) あたりの PM や SDE4 とミーティングをしたのですが、直前まで AWS ユーザーとして自分が感じていたことをダイレクトに伝えてディスカッションできる環境に大興奮したことを今でも鮮明に覚えています. 帰りにサンフランシスコに寄って DockerCon 2018 に参加したのもいい思い出です.
AWS のいちユーザーである社員9名の小さな会社5から転職してきた僕にとって、いわゆる外資系の巨大なグローバル企業はそのすべてが新鮮でした.
AWS で何やってたの?
AWS では複数のロールを務めました.
AWS Japan
- サーバーレス スペシャリスト SA (-2018.06)
- コンテナ スペシャリスト SA (-2019.12)
AWS
- Product Developer Advocate, Containers Product Management (-2022.03)
僕が AWS でやっていた仕事は、その時の僕のロールやあるいは誰の視点から見るかによって見え方が異なっていたんじゃないかなと思います.
社外から見える僕は、ちょこちょこ登壇してたり、ツイートしてたり、あるいは技術課題について相談できる相手であり、時にはそれらを一緒に解決した人だったり、あるいはもしかしたら一部のユーザーには AWS サービスチームとのミーティングの場で 決して得意とは言えない英語で頑張って 通訳をする人に見えていたかもしれません.
AWS Japan 社内から見える僕は、コンテナ技術や AWS のコンテナサービス、あるいはアプリケーション開発全般にまつわる顧客課題について相談できる相手であった気がします.
僕が入社した2018年頃はまだ世の中は今のように猫も杓子もおコンテナという感じではなかったと記憶していますが、僕の入社当時 AWS Japan でコンテナ技術まわりをリードしていた SA の岩永さん6が僕の入社数日後にバンクーバーの S3 サービスチームに異動7されたため、前職での Amazon ECS や Kubernetes の本番環境経験を活かして入社直後から貢献できるチャンスに恵まれたことは今思えばラッキーだったなと感じます. また、当時はコンテナ関連サービス専任の事業開発担当者もいなかったので、どうやってコンテナ関連ビジネスを成長させるかについて技術とあわせて考える機会を持てたこともとても良い経験でした.
2020年1月にシアトルの AWS コンテナサービスチームに異動8してからは、僕はチームにとってロードマップアイテム9の定義や具体化に貢献する人であり、一緒にプロトタイピングして設計や実装を考える相手であり、開発中の機能について最初にユーザー視点でフィードバックをくれる相手であり、他にも趣深いバグを再現するために一緒に頑張ったり、一緒にカスタマーミーティングに参加してユーザー課題についてディスカッションしたり、というなんかいろんなことをやっている人に見えていたと思われます. AWS Summit や AWS Dev Day、AWS re:Invent なんかでの登壇もしてはいましたが、AWS Japan での SA 時代と比べると登壇回数自体は少なかった気がします.
次なにやるの?
ミッションやカルチャーにとても共感できた日本のスタートアップ企業がありまして、そこに Software Engineer としてジョインします. ちょっと泥臭いところも好きで、加えて経営陣のお人柄も最高なんですよ.
この企業の方からは『チームをまとめ、経営とエンジニアリングをつなぐ役割も期待しています』という畏れ多いありがたいお言葉をいただいているのですが、生まれてこのかたプレイヤー10としてのキャリアしか歩んでこなかった僕にとっては完全に未知の領域で、ワクワクとドキドキが入り混じったような状態です. つまり楽しみです.
次の会社には2022年4月に入社予定なので、落ち着いたらまたブログ記事やTwitterなんかで詳細を報告できればと考えています.
なんで転職するの?
AWS という会社に不満があって辞めるわけではありません. 体が二つあって、AWS と次の会社の両方でフルコミットできたら最高なのにと心から思います. AWS を離れることは寂しいです. なんというか、AWS でのダイナミズム溢れる仕事から離れることもそうなんですが、それ以上に AWS のメンバーと同僚として働く機会がなくなってしまうことが寂しく感じます.
AWS の中でチャレンジできることはまだまだあるし、世界中を見ても Amazon/AWS という組織だからこそ学べることはもっとたくさんしかも確実にあるはずで、もしかしたら今回の転職という意思決定は後悔することになるかもしれないという不安も正直あります.
じゃあなんで転職するのかというと、実はそこのところはまだちゃんと言語化できていません. 転職先の会社の今現在の規模やステージだからこそ Amazon/AWS では経験することが難しそうな種類の仕事や課題にチャレンジできそう、みたいなそんな感じなんですが、そのうち整理したいです.
でもたぶんシンプルにまとめると、なんか面白そうだから転職しますって感じなんだと思います11. AWS に転職したときもそうだったし.
最後に
ここで言及できなかった数多くの同僚や、僕と関わりを持ってくれた多くの AWS ユーザーのみなさんのおかげで、僕はこの4年間で大きく成長し、それを通して多くのお客さまやコンテナエコシステムに貢献することができました(と、強く信じています).
AWS という世界ーのパブリッククラウドベンダーで、そしてキャリアの途中からはその AWS のサービスを作り、運用するチームに籍を置いて仕事ができたことは、本当に貴重かつこの上ない幸せな経験だったと感じます. 10年前の自分に「将来こんな面白い仕事をすることになるんだよ」と話せたとしても、きっと信じてもらえない気がします.
書いているうちにまた辞めることが心配になってきたので、このへんで打ち止めます.
お世話になったみなさま、本当にありがとうございました!これからもトリをよろしくお願いします!👋
FAQ
Q. RSU は全部 Vest されましたか?
A. いやーまだまだ残しての退職です. もったいない.
Q. もっと『AWS で学んだこと』みたいなお役立ち記事は書けないんですか?
A. そうなんですよ、本当にいろんなことを学んだのでぜひシェアしたいのですが、現在退職のアレコレで絶賛バタバタしており、落ち着いたらちゃんと言語化して記事にしたいと思ってます!
Q. AWS での仕事に興味があるのでもっと詳しく話を聞いてみたいんですが
A. ぜひ話しましょう! https://twitter.com/toricls から、DM あるいはプロフィール記載のメアド経由でご連絡ください😊
AWS の同僚として僕の仕事の詳細が気になってたけど、僕の在職中には話す機会がなかったという方からのお声がけももちろん大歓迎です.
Q. 次の会社がどこか知りたいです. 4月まで待てません.
A. 個別にご連絡いただければ、お話しできるかもしれません.
Q. トリと働いてみたいです
A. ありがとうございます😍 次の会社にもオープンポジションはたくさんありますので、ぜひ一緒にお仕事しましょう!ご連絡お待ちしております!!
Q. AWS のリリース情報を解説付きでツイートしてくれてたのが便利だったんですが、アレはなくなりますか?
A. あれは仕事というより趣味なので、今後も自分の興味のあるリリースについてツイートはしてる気がします. ただ、少なくともサービスや機能をリリースする側の立場ではなくなるので、表現の仕方なんかは変わる気がしています.
Q. ウィッシュリストはどこですか?
A. 昨年娘が産まれたときに本当に多くの方からたくさんのお祝いをいただいたので、今回は遠慮しとこかなと思っている次第です.
Q. 飲みに行くぞ!
A. 行きましょう!ご連絡お待ちしております!
Q. 聞きたいことが FAQ にのっていません
A. ご連絡いただければ可能な限り追記します👐 (追記しました👇)
— 2022.03.12 追記
Q. AWS での仕事に英語は必要ですか?
A. AWS US は当たり前ながら第一言語が英語なので必要ですね. AWS Japan の仕事は、職種にもよりますが英語から逃げようと思えば逃げられるものはあると思います. インパクトの大きい仕事をして評価されたい、出世したい場合には英語圏の同僚とのコミュニケーションなしではたぶん無理なので、必須と思った方が良い気がします. どれくらいのレベルの英語が必要ですかとも聞かれたんですが、これは仕事の内容にもよる感じでパッとまとまらないのでそのうち別でまとめます :)
Q. AWS US 側に異動してからはやっぱり深夜ミーティングとかでてたんですが?
A. 深夜ミーティングへの出席が常態化するのはサステナブルではないので、日本の営業時間以外のものは原則全部断ってました. 全体ミーティングみたいなタイプのやつは気になるやつは後から録画見たりとかしてましたね. 2年強続けられたのはこの原則を崩さなかったからだと考えてます.
Q. AWS Japan の SA 職から AWS US の DA 職に異動したのはなんでですか?
A. 東京にポジション置きたいからやらない?って誘われて、面白そうだったからですね. (Amazon/AWS では内部異動でも面接があるので、当然それはやりました)
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SA の仕事については imai-factory さんの記事によくまとまっているので、興味がある方はぜひ読んでみてください.
僕のロールは「スペシャリスト SA」だったので、同記事で説明されているロールとは前提が完全には一致しないのですが、『お客さんのビジネスの成功のために必要なあらゆる技術的支援をする』という観点では同じだと考えています. ↩︎ -
西谷さん(@Keisuke69)は現在 Singular Perturbations 社で CTO をされています. 渋谷の焼肉屋で AWS に誘ってくれて本当にありがとうございました. ↩︎
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日本の AWS ユーザーグループ・コミュニティ. コロナ禍にあっても、主にオンラインでたくさんのイベントが全国50を超える支部によって日々開催されています. 詳細は https://jaws-ug.jp/ からどうぞ! ↩︎
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Amazon/AWS でプロダクトやサービスのソフトウェア開発に関わる Software Engineer は、Software Development Engineer (SDE) や Systems Development Engineer (SysDE) というロール名が多いです. ↩︎
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僕が AWS をちゃんと触るようになったのも、外での登壇をするようになったのも、この「社員9名の小さな会社」と当時の同僚のおかげで、この会社での経験がなかったら今の僕はまったく違ったキャリアパスを歩んでいたと思います. 本当に感謝しています.
この会社での経験についてはどこかでもうちょっと詳しく書けたらいいなと思っています. ↩︎ -
i.e. @riywo さん. 最近 Autify にジョインされたようです. Congrats! ✨ ↩︎
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冒頭のホワイトボードで彼(@riywo)のメッセージが
Welcome!! and bye!
になっているのは、つまりそういうことです😇
僕が入社1ヶ月でサーバーレスからコンテナのスペシャリスト SA にロールチェンジする必要があったのは、彼の異動による AWS Japan 内でのコンテナ民不足がその最大の理由だった気がします. 懐かしいです. ↩︎ -
家は東京のままリモートワーク+定期的な出張という前提だったのですが、結局は COVID-19 の影響でずっと東京でフルリモートワークでした. ↩︎
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最近だとプレイヤーに代わって、“IC” = “Individual Contributor” という表現を日本でも見聞きするようになりましたね. ↩︎
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とはいえ実際にはそれなりに悩んでいたところ、妻が「いいんじゃない?」と背中を押してくれたことが最終的に転職を決断できた理由です. いつも応援してくれて本当にありがとう. 僕も応援しています. ↩︎